手術室看護師に必要な基本知識と技術
生命に直結する事故を防ぐために求められる基本的な項目の一覧
手術室は救急・集中治療領域と並び、患者さんの生命に直結する危険が多数存在する場所であることをよく認識しておく必要があります。
患者さんの生命は手術室に入室した瞬間から、医療者の手に委ねられることになります。事故を防ぐため、基本となる知識・技術は、当然のこととして身につけなければなりません。
そうすることで、患者さんや手術について情報収集し、アセスメント、問題の明確化を行い、手術準備を行うことが可能となります。手術室看護師にとって必要な基本の知識と技術は以下の通りです。
基本知識 | 基本技術 |
・病態、生理 | ・手術器械の取り扱い |
・手術術式について | ・使用機器取り扱い |
・消毒と滅菌 | ・手術体位のとり方 |
・麻酔について | ・無菌操作の方法 |
・治療薬 | ・ガウンテクニック |
・輸血取り扱い | ・手洗い手技 |
・感染取り扱い | ・挿管介助の方法 |
・手術の流れ | ・カニュレーションの内容 |
・麻酔薬の薬効 | ・体温調節の方法 |
・合併症の内容 | ・申し送り事項 |
・体温調節の必要性 | |
・術前処置の内容 | |
・必要検査項目 |
手術室看護室は「器械出し」と「外回り」に役割分担が明確になっています。それぞれに求められる知識や技術にも少し触れてみましょう。
「器械出し」は文字通り、メス、開創器、セッシ、持針器等の器械を手術の進行に合わせて外科医に渡す役割を担っています。ただし、外科医から指示があってから渡すだけでは不十分で、そこには知識と経験に裏付けられた技術が必要となります。
すなわち、看護師は手術の流れを把握して、次に必要な器械を予め予測して手元に準備しておき、外科医が手を出したら、例え言葉がなくても必要な器械を手渡せるようにしておかなければなりません。
手術に必要な器械の種類はハサミ一つとっても、長さ、先端の細さ、曲がり具合等多岐に渡っており、必要とされるシーンも異なります。当然、基礎知識として全て頭に入っていなければなりません。このように「器械出し」の看護師には、各器械や解剖の知識、手術ごとの術式の流れなどに加えて、予測性と状況判断も求められます。
一方、「外回り」は麻酔導入の介助にはじまり、術中のバイタルサインの変動の観察、必要な医療機器の準備、術後の回復室でのケアまで、患者さんが手術室を退室するまでの看護を行います。
患者さんを中心として外科医と麻酔科の双方に目を配ることが求められ、スペシャリストの「器械出し」に対して、外周りの看護師はどちらかというとジェネラリストとしての知識や技術が問われます。