患者、カルテ、検査データの間違い、刺傷事故など手術室におけるリスク
室内には事故につながるさまざまな要因があることを理解し、対策をとる必要があります
看護師は、事故に結びつく様々なリスクが手術室内に存在することを知っておく必要があります。
手術台の周辺(転落):手術台は、手技を容易にするために横幅が狭くなっています。意識がない、あるいは朦朧としている患者さん、乳児などは、予測できない動きをするため注意が必要です。
また、手術台での移動や体位変換も転落の危険性をはらんだ場面です。さらに、麻酔があったり、麻酔効果で意識がハッキリしない患者では、四肢が手術台から落ちてもシーツに隠れてわからないこともあります。
患者移動後や体位変換後は、直ちに四肢を抑制し、体動が激しいときは、手術台から離れず、転落防止に努めます。患者さんの意識が明瞭で理解力が良好な場合は、必要性を説明し、協力を求めることもできます。
手術台の周辺(点滴・ドレーンの抜去、抜管):移動や体動は、点滴・ドレーンの抜去、抜管の危険性もあるため、ルートの引っ掛かりがないか、長さが十分である過などについても、十分に確認しなければなりません。
紛らわしい消毒薬:手術室にはさまざまな消毒薬があり、消毒部位により使用薬が異なります。同じ消毒薬でも部位により濃度が異なります。
また、他にも多数の使用薬があり、そのほとんどが口頭による指示で投与、使用されています。そのため、薬名・量・投与方法を直接医師に確認しなければなりません。
使用時にはアンプルやバイアルを医師とダブルチェックし、確認後は復唱し、確認の三原則を実施します。似たようなアンプル、バイアル、ボトルは保管場所を離し、ラベルを変えるなどの工夫を行います。
手術体位と褥瘡、神経麻痺の発生:手術体位と手術時間により褥瘡や神経麻痺を起こす可能性があります。褥瘡は、体位をとる際、局所的に圧迫されていないか注意しなければなりません。また、通気性や皮膚の状態、肥満度などを考慮し、術中も観察と皮膚の保護・除圧を行います。
神経麻痺の予防は、神経の走行を考慮し、圧迫を避けます。褥瘡、神経麻痺のどちらの場合も、術前の状態を把握し、術後の状態と比較観察することが大切です。
患者、カルテ、検査データの間違い:同姓同名や似ている名前の患者さんがいる場合は、患者、カルテ、検査データを間違える可能性があります。それに加えて治療、検査、看護援助が誤って行われる危険があります。これを防ぐためには、日頃より患者名をフルネームで確認し、重要事項はダブルチェックする習慣が必要です。
刺傷事故:手術室では、スタッフが針やメスなどで怪我をしてしまうケースが数多く報告されています。それにより、血液感染症を起こす可能性があります。
その他のリスク:電気メス、バイポーラ、点滴加温器、加湿マットなどの医療機器による熱傷、異型輸血の実施、手術部位の左右の間違い、手術器械などの体内遺残などがあります。