「手術医療の実践ガイドライン」に沿った入室時の服装を紹介
帽子・マスク・術衣の使用は欧米と同じも、靴の履き替えでは相違点があります
手術室は清潔区域ですので、入室の際には下着以外の着衣を脱ぎ、洗濯された清潔な手術衣(部内着 / 手術下着)を着用すること求められます。
手術衣が上下に分かれている場合、上着の裾はズボンの中に入れます。手術位は洗濯により血液などを含む汚れを除くと共に、その過程において70~80℃程度の高温で洗浄を行うことによりある程度の消毒も行っています。
次いで、帽子とマスクを着用します。帽子は、なるべく鏡の前で、頭髪が全て覆われていることを確認しながらかぶるようにします。長髪の場合は、フードをかぶるほうがよいでしょう。
マスクは、鼻と口を完全に覆うようにキッチリと装着します。ノーズピースのあるマスクでは、自分の鼻の形に合うように曲げて隙間なく密着させます。
日本では、靴に付着した塵埃などの持ち込みを防ぐ目的として、手術室入室の際には、専用の履物(洗浄済みのスリッパなど)に替えることが多いですが、欧米では靴にシューカバーをかぶせて入室することが一般的です。
ただし、靴の履き替えやシューカバーが感染の減少に繋がるというエビデンスは存在しません。CDC(米国疾病予防管理センター)の感染対策ガイドラインには、「手術部位感染防止のためにシューカバーを使用するのではない」と明記されています。靴の履き替えやシューカバーの使用には、血液などによる手術中の汚染を室外へ持ち出さないという意味合いもあります。